損害賠償請求とは、“債務不履行”や“不法行為”などによって、損害が生じた場合に、その賠償を求めることです。
“債務不履行”とは、当事者間に契約関係があり、その契約に基づく義務に違反することを指します。“不法行為”とは、故意に、または不注意で人を傷つけたり、物を壊したり、権利を侵害したりすること(法令や社会通念により、注意義務が課されているときに、それに違反す
ることも含む)を指します。
“損害”とは、広くは、その人(法人も含みます)の“不利益”のことを指しますが、賠償を受けることができる“損害”は、より限定的なものとなります。
債務不履行や不法行為と損害との間には「因果関係があること」が必要となり、行為者が予見できないような特別の損害については、行為者は原則として賠償責任を負わないとされています。
例えば、「個人情報が流出した」という場合、個人情報の流出を招いたことは不法行為に当たりますが、その個人情報が悪用されて現実的な損害が発生していないときなどは、慰謝料の請求ができるにとどまり、その額も大きな額にはならないのが実情です。
慰謝料とは、精神的損害(精神的苦痛。つらい気持ちを味わったことなど)を金銭で換算したものといえます。
慰謝料の額は、その被害(苦痛)の程度、加害行為の態様、両方の当事者の社会的地位や経済状況などを考慮して算定されます。
慰謝料の額に明確な基準はありません。交通事故のように、多くの裁判例が積み重ねられて目安が設けられている分野もありますが、それ以外の紛争の場合は、被害者と加害者が合意して決定するか、合意ができない場合は、裁判へと発展し、裁判官の判断によって決定されます。
損害は原則として金銭で評価されます。つまり、ある物が壊れた場合、原状に回復させるのではなく、修理に必要な費用や壊れた当時の価格を賠償すればよいということです。
精神的苦痛も金銭で評価されます(慰謝料)。名誉棄損については、「謝罪広告」を求めるという金銭以外の損害回復方法がありますが、それ以外の、例えば、悔しい思いを償ってもらうため、土下座を法的に要求するといったことはできません。
行為者に故意または過失があると同時に、被害者にも過失がある場合は、その被害者の過失が考慮されて賠償額が減額されることがあります。交通事故では「過失割合」がよく問題となりますが、交通事故以外の場面でも同じような主張が交わされることもあります。
交通事故にあった場合、相手方の保険会社から賠償を受けることになりますが、その賠償額の提示が適正なのか(低すぎないか)、判断しづらいことがあります。そのような場合も弁護士にご相談ください。なお、自車の自動車保険に弁護士費用が特約が付いている場合は、これを利用して相談料も含めて費用負担なしに、弁護士に対応を依頼することができます。
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